「カリナンダイヤモンド(THE CULLINAN DIAMOND)」

世界最大のダイヤモンドは、1905年に南アフリカのプレミア鉱山で発見された「カリナン・ダイヤモンド(The Cullinan Diamond)」です。鉱山の所有者である、トーマス・カリナンにちなんで名付けられた「カリナン・ダイヤモンド」は、未カットの状態で3,106カラット(1.5kg)あり、大きさは、長さ101mm、幅50.8mm、高さ63.5mmありました。
現在の南アフリカ共和国のプレトリア近郊にあるプレミア鉱山の管理者の一人、フレデリック・ウェルズ氏が、採掘場の表面付近でこの大きな結晶を発見しました。当初、彼はこれがダイヤモンドであるとは思っていませんでした。
現在、カリナン鉱山と改名されたプレミア鉱山は、原石240カラットの「テイラー・バートン・ダイヤモンド(Taylor Burton Diamond)」、原石353カラットの「プレミア・ローズ(The Premier Rose)」、そして原石599カラットの「デビアス・センティナリー・ダイヤモンド(The De Beers Centenary Diamond)」など、世界で最も有名なダイヤモンドを数多く産出してきました。また、755.50カラットの「ゴールデン・ジュビリー・ダイヤモンド(Golden Jubilee Diamond)」や、現在スミソニアン博物館で展示されているファンシー・ビビッド・ブルーで27.64カラットの「ハート・オブ・エタニティ(The Heart of Eternity)」など有名なファンシーカラーダイヤモンドも産出した鉱山で知られています。
「カリナン・ダイヤモンド」はその後ヨーロッパに渡り、トランスバール政府からイギリス国王エドワード7世に忠誠を誓うものとして贈られました。そして、アムステルダムで有名なダイヤモンド・カッター、ジョセフ・アッシャーによって10個以上のダイヤモンドにカットされました。「カリナン・ダイヤモンド」からカットされたダイヤモンドの多くは、現在、ロンドン塔にある英国王室所有のクラウン・ジュエルズ(The Crown Jewels of England)の一部として展示されており、カットされた最大のダイヤモンドは、530.40カラットの「カリナンI(別名:偉大なるアフリカの星(The Great Star of Africa))」で、イギリス王笏にセットされています。

「カリナン・ダイヤモンド」からカットされた2番目に大きなダイヤモンドは317.40カラットで、クッションカットが施されています。「アフリカ第二の星(Lesser Star of Africa)」とも呼ばれる「カリナンII」は、イギリス宝冠のインペリアル・ステート・クラウン(The Imperial State Crown)にセットされ、ロンドン塔で展示されています。
エリザベス女王は、それ以外にも「カリナン・ダイヤモンド」からカットされた多くの小石を個人的に所有しており、その中には3番目と4番目に大きな石、94.40カラットのペアシェイプのダイヤモンドと63.60カラットのスクエアカットが施されたブリリアントダイヤモンドが含まれています。この2つは、エリザベス女王のグラニーズ・チップス(Granny’s Chips)と呼ばれる華麗なブローチにセットされていて、当初は、「カリナン・ダイヤモンド」をカットした代金として、アムステルダムのアッシャー・ダイヤモンド・カンパニーに預けられていました。その後、南アフリカ政府が購入し、メアリー女王に贈り物としてささげ、孫娘のエリザベス女王へと受け継がれました。
「カリナン・ダイヤモンド」は、これまで発見された中で最大のダイヤモンドであることに加え、色と透明度が極めて高いことで知られる希少なタイプIIaのダイヤモンドです。また、クラリティグレードはDカラーで、発見時にほとんどフローレスと言われています。1つのダイヤモンド原石から1,063カラット以上の最高級ダイヤモンドがカットされた「カリナン・ダイヤモンド」は間違いなく、これまで発見されたダイヤモンドの中で最も高価なものです。「カリナン・ダイヤモンド」よりも有名なダイヤモンドは、唯一スミソニアン博物館に展示されているディープ・ブルー・ダイヤモンドの「ホープ・ダイヤモンド (The Hope Diamond)」のみで、アメリカ王冠の宝石と呼ばれることもあるそうです。王冠は販売されることがないので、「カリナン・ダイヤモンド」と「ホープ・ダイヤモンド」はどちらが高価なものかは未だわかっておりません。
カラーレス・ダイヤモンドで、1カラットあたり最も高価なダイヤモンドは、2150万米ドルで落札された76カラットの「ジョセフ大公ダイヤモンド」で、1カラットあたり282,894米ドルとなっています。「カリナン・ダイヤモンド」の価値は、王冠宝石の一部であることと、サイズが遥かに大きいことから、20億米ドルにものぼると予測されています。
「1,758 CARAT ROUGH FROM KAROWE IN BOTSWANA
ボツワナ・カロウェ産1,758カラットの原石」

2019年4月、ボツワナのカロウェ鉱山でルカラ・ダイヤモンド社が2番目に大きなダイヤモンドを発見しました。 この名前のない1,758カラットの原石は、宝石にカットできるほど透明な部分が少ないため、同サイズの宝石品質のダイヤモンド原石に比べると、何分の一かの価値にしかならないと言われています。ダイヤモンドは品質がすべてであり、最高品質のダイヤモンドは、1カラットあたり数十万ドルで取引されることがありますが、工業用ダイヤモンドは、1カラットあたり1ドル程度にしかならない場合もあります。この原石は今現在もルカラ社が所有しており、その価値は実際に売却してみないと分からないと言われています。
昔は、このようなダイヤモンドは粗加工の際に砕かれていました。しかし、現在ルカラ社は、新技術であるトムラ・ソーティング・ソリューションズ(Tomra Sorting Solutions)のX線透過式ソーティング装置を使用していることから、暗色や希少なタイプIIダイヤモンドであっても、ダイヤモンドを選び出すことができるようになりました。ルカラ社がこの技術に切り替えた2015年以降、300カラット以上のダイヤモンドが12個発見されており、今後も増えていくと予想されています。
「レセディ・ラ・ローナ(THE LESEDI LA RONA)」

2015年にルカラ・ダイヤモンド社がボツワナのカロウェ鉱山で発見した1,109カラットのダイヤモンド原石は、世界中で大きな話題となりました。全国規模のコンテストを経て、この記録的な原石は、ボツワナの公用語であるツワナ語で「私たちの光」を意味する「レセディ・ラ・ロナ (Lesedi La Rona) 」と名づけられました。当時、「カリナン・ダイヤモンド」の次に大きなダイヤモンド原石とされ、ボツワナで採掘されたものとしては最大で、2017年9月にグラフ・ダイヤモンド社に5300万米ドルで売却されました。
テニスボールサイズのこのダイヤモンドは、グラフ社の既存設備には大きすぎたため、新しく、画像処理ソフトが搭載されたスキャナーを特注する必要があったそうです。数カ月間の研究を経て、302.37カラットの世界最大級のスクエア・エメラルド・カットダイヤモンドが誕生し、「グラフ・レセディ・ラ・ロナ(The Graff Lesedi La Rona)」と名付けられました。
「グラフ・レセディ・ラ・ロナ」は、GIA(米国宝石学会)によって最高の透明度と評価され、史上最大級のDグレードのダイヤモンドと鑑定されました。また、この原石から他にも66個の小さなダイヤモンドがカットされ、残りの破片は、地球のマントルに関する研究のためにスミソニアン協会に寄贈されました。「グラフ・レセディ・ラ・ロナ」は、他のダイヤモンドに比べ、地中の3倍程深い場所で形成されたとGIAから鑑定されており、スーパーディープ(とても深い)ダイヤモンドと言われています。「カリナン・ダイヤモンド」と同様、類まれな品質で知られるタイプIIaのダイヤモンドです。
その希少性、類まれなサイズ、高い品質、そして紛れもない美しさから、「グラフ・レセディ・ラ・ロナ」は間違いなく1億ドル、あるいはそれ以上の価格で販売されると言われています。
「スター・オブ・シエラレオネ(THE STAR OF SIERRA LEONE)」

968.90カラットの「スター・オブ・シエラレオネ (The Star of Sierra Leone) 」は、1972年にシエラレオネで発見され、ハリー・ウィンストンが数百万ドルで購入し、ニューヨークに渡りました。当初は、143.20カラットでエメラルドカットが施されていましたが、欠陥があったため、ニューヨークのカット会社、ラザール・キャプラン(Lazare Kaplan)によって42カラットのペアシェイプに再カットされました。この原石からは、他にも17個のダイヤモンドがカットされ、そのうち6個はブローチにセットされました。「スター・オブ・シエラレオネ」は、沖積鉱床から発見された最大級のダイヤモンドで、その価値はおそらく600万米ドル以上だと言われています。
「ミレニアム・スター・ダイヤモンド(THE MILLENNIUM STAR DIAMOND)」

777カラットの「ミレニアム・スター・ダイヤモンド (The Millennium Star Diamond)」は、1990年に現在のコンゴ共和国で発見されました。この原石からカットされた最大の宝石は、重さ203. 04カラットのペアシェイプのダイヤモンドで、カラー・クラリティグレードは最高品質のDフローレスと評価されています。このダイヤモンドは1999年にデビアス社のミレニアム・ダイヤモンド・コレクションの一部として発表され、ロンドンのミレニアム・ドームに展示されていました。しかし、2000年11月に、このコレクションを盗み出そうとする計画があり、幸いにも強盗団が逃走する前に逮捕されたので未遂で済みましたが、この強盗事件は「Diamond Geezers」という実録本にもなり、「ミレニアム・スター」は一躍有名になりました。「ミレニアム・スター」は4000万米ドル以上の価値があると推定されています。
「ウォーイー・リバー・ダイヤモンド(THE WOYIE RIVER DIAMOND)」

重さ770カラットの「ウォーイー・リバー・ダイヤモンド (The Woyie River Diamond)」は、1945年にシエラレオネ・セレクション・トラスト社が発掘し、シエラレオネのコイドゥ近郊の川の名前にちなんで名付けられました。当時、沖積されたダイヤモンドの中で最大級のものでした。原石には11.5cmに渡る割れ目があったことから、もともとはもっと大きかったと言われており、川を下っている間に打撃を受け欠けてしまったと推測されています。
「ウォーイー・リバー・ダイヤモンド」は、1949年5月に開催された英国産業見本市で展示されました。そして、エリザベス2世のコレクションである「ウィリアムソン・ピンク・ダイヤモンド」をカットしたロンドンのブリーフェル&ルメール社(Briefel and Lemer)によって、1953年に30個ものダイヤモンドにカットされました。
「ウォーイー・リバー・ダイヤモンド」は、高品質のタイプIIaダイヤモンドです。このダイヤモンド原石からカットされた最大の宝石は、31.34カラットのダイヤモンドでクラリティグレードはDカラー、VVS2と鑑定されています。このダイヤモンドが発見された数ヵ月後に第二次世界大戦が終戦したことから、連合国の勝利に敬意を表して、「ヴィクトリー・ダイヤモンド(The Victory Diamond)」と名づけられました。このエメラルドカットに施されたヴィクトリー・ダイヤモンドの元所有者は芸術の後援者であるフローレンス・グールド(Florence Gould)でしたが、2015年にクリスティーズで430万米ドルで売却されました。